▶特殊詐欺についての研究

2021年7月2日、金沢区の「いきいきセンター」で、特殊詐欺についてのお話をお聞きする機会がありましたので概要を簡単にご報告します。また、どうしたら特殊詐欺を減らすことができるかという私の考えをまとめてみました。みなさんも特殊詐欺には十分に注意してください。(高25期 廣瀬隆夫)

1)特殊詐欺の手口
金沢区では、2021年5月までに17件で3,200万円の特殊詐欺の被害が出ているそうです。横浜市の中でも金沢区は多いそうです。神奈川県では、2021年5月までに470件、約8億円の被害が出ています。年々、被害の件数は減っているようですが、新しい手口が出てきていますので予断を許さない状況だそうです。代表的な手口は次のとおりです。

① 還付金詐欺
役所や年金事務所の職員などを装って電話をかけ「還付金を返す」と言葉巧みにATMへ足を運ばせ、架空の口座に送金させてしまう手口
② オレオレ詐欺
子や孫、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件や事故に対する示談金、賠償金を名目にだまし取る手口
③ 預貯金詐欺
子や孫、警察官、銀行職員、役所職員などを騙り「あなたの口座が犯罪被害に遭っている」などと、キャッシュカード変更手続きを装い、カードを騙し取る手口
④ 架空料金請求詐欺
未払いの料金があるなど架空の事実を口実にしてお金を騙し取る手口
⑤ パソコンウイルス感染型詐欺
パソコンがウイルスに感染したように見せかけてお金を騙し取る手口。実際はウイルスに感染していなくてパソコンを再起動すれば直ることがほとんどだそうです。

2)特殊詐欺の犯行の傾向
被害者は60歳以上の高齢の方、特に70代、80代が多く女性が65%だそうです。オレオレ詐欺は、家に人がいなくなる10時〜11時に最初の電話があるそうです。その後、昼休みを挟んで13時以降に再度電話があり、その日のうちにお金を騙し取るというケースが多いということでした。まず、子や孫から電話がかかって来て警察官、銀行職員、役所職員など複数の役者が次々にで出てくる劇場型の犯行になっているそうです。

特殊詐欺は、大きな犯罪組織が関わっていることが多く、銀行からお金を引き出す「出し子」や現金やキャッシュカードを家に取りに来る「受け子」は若い人がほとんどで、手軽な金儲けがあると誘われて、アルバイト感覚でやってしまう人が多いということでした。誰から命令されているかを分からずにやっている罪の意識のない子もいるそうです。友人を介してつながっているケースもあるということでした。電話をかけてくる「かけ子」はフィリピンなど海外のアジトに潜伏していて、そこからかけてくることが多いそうです。振込先の口座は、ほとんどが不正に売買された架空口座だそうです。

最近は、新型コロナワクチン接種に便乗したサギも増えているようです。お金を払えば接種希望日を選べる、予約代行する、必ず接種できる、余った枠を案内している、などの電話があるようです。ワクチン接種に、国や自治体がお金の要求をしたり、個人情報を聞き出す電話やメールをすることはありません。ワクチン接種は無料なのでよく考えるとおかしいのです。

3)特殊詐欺に引っかからないように注意すること
一人で家にいる時を狙って電話をしてきます。警察や役所の職員を名乗る知らない人から、身内の事故や盗難などのショッキングな電話が入ってくるとドキドキします。犯人は、そんな心理状況をよく知っていて、そこに付け込んで矢継ぎ早に話をしてきます。そこで、一人でまともに話を聞いてしまうと術中にハマったも同じだそうです。

息子を名乗る者から電話がかかってきた時、疑われると犯人は風邪をひいて声がおかしいと言ってくるそうです。電話でお金やキャッシュカードの話がでたら詐欺を疑ってください、ということでした。

犯人は子や孫を思う親心を研究していて、そこに巧みに付け込んできます。お金が工面できないと会社にミスが発覚してクビになる、バレると大変なことになる、人生を棒に振ってしまう、など慌てたふりをするそうです。そこで犯人に同調したら思うツボです。

相手を信用させるために色々な手を使います。身分証を持った銀行協会を名乗る人物がカードの受取に来ることもあるそうです。こちらは一人ですが、騙そうとする相手は何人もいますので引っかかってしまうのです。現実の社会では、社員が現金を自宅に取りに来たり、キャッシュカードや現金を銀行や役所が預かることはあり得ないことなのに、そう思わせるのが詐欺師の詐欺師たる所以だそうです。

銀行では、特殊詐欺対策として高齢者が大きなお金をおろしたいと言ってきた時には、用途を聞くように窓口の銀行員に指導しているそうですが、犯人は、それも知っていて、「家のリホームに使うお金だ」と言うように指示をするそうです。

パソコンウイルス感染型の詐欺も増えているので注意が必要だということでした。ウイルスに感染したと大きな音や赤い画面を表示させ、ここに電話するようにというメッセージが出るそうです。Googleのギフトカードなどをコンビニで買わされて認証コードを盗むという手口が流行っているようです。パソコンで変な画面が出ても絶対に電話をしないようにということでした。

4)特殊詐欺のお話を聴講して思ったこと(まとめ)
団塊の世代の人たちは高度成長期を経験しています。その頃に一生懸命働いたお金が預貯金として残っています。その団塊の人たちは高齢者になって、多少記憶が怪しくなってきています。特殊詐欺の首謀者はその高齢者のお金に目を付けた卑劣な犯罪者です。

警察庁の調べによりますと、2021(令和3)年5月の特殊詐欺の発生件数は、全国で5,519件、被害額は106億円になっています。減少傾向とは言え、今でもこれだけの大金が日本中で盗まれて闇の社会に流れているのです。
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/tokushusagi_toukei2020.pdf

ネットで調べますと、特殊詐欺は2000(平成12)年ころからマスコミで報道されるようになっています。ちょうどパソコンやインターネットが普及して社会の匿名化、グローバル化が進んだころです。また、高齢化率も高まってきた頃です。社会の歪と技術、高齢化を悪用した犯罪だと考えられます。

電話をかけてくる「かけ子」はフィリピンなど海外のアジトに潜伏していることが多いそうです。日本の警察の捜査が及ばない所です。彼らは、お金に対する価値観や倫理観が私たちとは全く違った人たちであるとも考えられます。お金はネット上のデジタル情報で、それを奪うことはゲームと同じでそれを楽しんでやっているという節があります。

テレビのニュースなどを観ていますと、海外の犯罪集団が日本を狙っているというように見えますが、主犯は日本にいて人件費が安い東南アジアの人たちを使っているのではないかと思います。システム開発でも、日本でやっているのは上流設計だけで、プログラミングは、中国やベトナムの開発企業に頼むオフショアが多いです。

カモがネギを背負って来るという喩えがありますが、詐欺に引っかかって簡単に、お金を持ってきてしまう方が悪い、自分たちは落ちていたお金を拾っているだけ、という感覚の持ち主です。特殊詐欺をやっている人は、悪いことをやっているという罪の意識が希薄です。彼らとの間には歴然とした「バカの壁」が立ちはだかっているように感じます。

銀行から金を下ろす「出し子」や現金を自宅に取りに来る「受け子」として犯罪に手を貸しているのは日本の貧しい若者たちです。最近は女子も増えています。特殊詐欺の元締めは、なかなか捕まりません。ある意味、手先に使われている若者も、海外に潜伏している本物の詐欺師の犠牲者とも考えられます。社会の格差の広がり、子どもの貧困も根底にあるのではないかと思います。

子や孫を装って特殊詐欺の電話がかかってきた時、「おまえに渡す金はない。親に頼らずに自分の過失は自分で解決しろ!」と突き放すくらいの気概が必要ではないかと思います。息子が本人かどうか、しつこく確かめましょう。「卒業した高校は?中学校は?小学校は?祖父母の名前は?などなど」欧米ではオレオレ詐欺はないそうです。子どもに厳しいので、親や祖父母に電話しても、そう簡単にお金を出さないからだそうです。

還付金の電話があったら役所で確かめると断りましょう。預金が凍結されても銀行に行けば容易に解除してくれます。キャッシュカードが読めなくなれば銀行に頼んで再発行してもらえます。他人に頼らずに自分で問題解決するという考え方が重要だと思います。親切を装った詐欺師の甘い言葉に誘われて、言われた通りに行動してしまうのが最も危険です。

また、特殊詐欺を減らすためには徹底した子どもたちの倫理教育が必要だと思います。子どもたちが特殊詐欺の加害者になってしまう危険性を倫理の教科書にも載せてもらいたいと思います。受け子や出し子がいなければ特殊詐欺は成立しません。犯罪の片棒をかつぐように誘われた時、若い人たちにダメと断る勇気があれば特殊詐欺を減らすことができます。

おいしい言葉に気をつける。自分の大切なお金は自分で守る。子どもたちを犯罪者にしない。みなさんも特殊詐欺には絶対に引っかからないでください。

※ 金沢区で発生した生々しい特殊詐欺の事例を集めていますので、こちらもお読みください。
▶ストップ詐欺被害!!金沢区の特殊詐欺発生速報
https://daido-net.sakura.ne.jp/wp/2021/06/29/sagi-3/

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