▶ ピクサー映画「リメンバー・ミー」を観て感じたこと

「リメンバー・ミー」の再放送を観ました。2017年にピクサー・アニメーション・スタジオが制作した子ども向けのアニメーションです。大人にとっても良い映画でした。(2022年3月4日 高25期 廣瀬隆夫)

ミュージシャンを夢見るギターが好きな少年ミゲルが、死んで骸骨になった先祖たちのいる「死者の国」に迷い込んで不思議な冒険をするというお話です。死者の国というのは、いわゆる天国のことです。

「リメンバー・ミー」は死という重いテーマを扱っています。そこに「二度目の死」という設定が出てきます。普通の死が肉体の死だとすれば、「二度目の死」は精神の死です。生きている人の記憶から、天国に行ってしまった人のことが忘れ去られたときが「二度目の死」となります。「二度目の死」が訪れると天国に存在できなくなり、その人は、木っ端みじんに消滅してしまうのです。「二度目の死」のエビデンスとして、映画では死者の写真が、家のどこにも飾られていないこととしています。

この映画に出てくる「死者の日」には家族や友人たちが集い、故人への思いを馳せて語り合います。日本では、春と秋にお墓参りをする「お彼岸」があり、夏には故人の魂が戻ってくるという「お盆」があり、一回忌、三回忌、七回忌などの「年忌法要」があります。自分という存在は自分だけで成り立っているのではなく、連綿と続く父母、祖父祖母・・・という家族が自分をこの世界に生んでくれたからだということを忘れないことは大切なことです。「死者の日」や「お彼岸」「お盆」という行事は、肉体が滅んだとしても、人の精神は何らかの形で残っていき、それが新たな未来の糧になることを忘れないためにあると思います。

映画のタイトルが「リメンバー・ミー ⇒ 私を覚えていて」であるのは、そのことを直接的に伝えたいからだと思います。音楽も、映画も、写真も、その人が存在していたことを後世に残すためのものです。人々が忘れずに思いを伝えていけば、たとえ肉体が滅んでも心はつながっていきます。思いをつなげることで家族の絆が一層強固なものになります。この映画はここを感動的に描いています。

夢を追いかけ自分らしく生きる少年ミゲルを応援し、家族も大切にして行く、伝統と新しい生き方は対立しない、むしろ、家族との歴史があってはじめて、自分らしい生き方ができる。この映画は、生きていく上で家族がいかに大切かを語っています。

    ▶ ピクサー映画「リメンバー・ミー」を観て感じたこと” に対して2件のコメントがあります。

    1. 石渡明美 より:

      「リメンバー・ミー」だいぶ前に観たことありましたけれど、また観てしまいました。家族のつながりが優しくてほっこりしました。
      ロシア、ウクライナで起きている戦争、人間って愚かだなと悲しくなります。
      1日も早く終わるように祈っております。

    2. 廣瀬隆夫 より:

      ピクサーのアニメーションは、どの作品も考えさせるテーマを扱っていますね。家族がテーマになっている作品が多いように思います。それにしても、今回の戦争は、何十年も前に歴史が戻ってしまったように感じます。こんな愚かで野蛮なことは一刻も早く止めてもらいたいですね。

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