▶同窓会研究6「神奈川県立高校の同窓会の実態調査」
他校の同窓会はどんな状況なのか気になることはありませんか?神奈川県立高校の18校の同窓会について、ホームページ、メール、電話などで聞き取りし、同窓会について調べてみました。みなさんも、同窓会について考えてみてください。(調査期間:2018年1月〜3月)
【調査表の解説と考察】
■ 事務所の所在地について
校内に同窓会の事務所がないのは18校の中で希望が丘高校、横浜緑ヶ丘高校の2校だけでした。正式に借用申請をすれば同窓会の事務所を校内に置くことが可能です。小田原高校は、神奈川県教育委員会に「教育財産目的外使用許可」の申請をして許可を得ており、旧図書館の3階のフロアーを全て同窓会が管理しています。校史資料室は、高校から正式に管理の委託を受けています。
希望が丘高校は、現在、同窓会の事務所がある所は元々高校があった場所で同窓生にとっては懐かしい場所であるということでした。横浜緑ヶ丘高校は、高校が坂の上で高齢の方が坂を上るのが大変なので、バリアフリーを考慮して平地に事務所を設けたそうです。事務所は会員からたいへん廉価な賃借料でお借りしているということでした。ほとんどの高校が校内に事務所を持つことを会則に明記しており、止むを得ず高校を離れた2校についても明確な理由がありました。
厚木高校は、同窓会の荷物を置く場所だけ校内に確保して、打ち合わせは公共の場を使っているようです。固定費をできるだけ抑えたいという思惑があるのだと思います。
■ 同窓会の目的
どの会も、会員相互の親睦、母校の発展、地域貢献のみならず広く「社会」への貢献を目的としていました。目的を達成するために、どんな事業を行い、どのような年度目標を設定してPDCAを回すか、また、役員や担当者の権限と責任を、あらかじめ決めておく必要があると思いました。
■ 同窓会の組織
同窓会は、できるだけ多くの会員が参加できる開かれた組織にする必要があります。同窓会の事務局を作ってまとめている高校もありました。明確に会計監査を置いている高校もあり、同窓会が明朗な会計を行っているか、間違った方向に進んでいないかを第三者の立場から監査することの重要さを痛感しました。
同窓会の目的を達成できる資質を持った経験を積んだメンバーを選び、権限と責任を明確にしたしっかりした組織作りが必要だと思います。
■ 総会について
調査した全ての高校が、一般会員全員が総会に参加できて、議決権も与えられていました。議決を行うときには、民主的な方法が不可欠であり、多数決の原理を損なうことがあってはならないと思いました。同窓会という任意団体では、できるだけ多くの会員が公平な立場で同窓会の意思決定に参加できることが重要だと思います。ほとんどの同窓会が、総会資料をホームページに公開して、同窓生であれば誰でも総会に参加できるようになっていました。
■ 会計年度
全ての高校が通常の会計年度の4月1日〜3月31日でした。
■ 会員の資格
卒業生と母校の教職員に同窓会の会員資格が与えられていました。恩師あっての同窓会ということを忘れてはいけないと思いました。お世話になった恩師に同窓会の会員になっていただきたいという思いは、どの高校でも同じだと思いました。
■ 同窓会の会費
年会費が2千円〜3千円が大半でした。中には、5年で5千円、1万円で終身会員という高校もありました。小田原高校は、60歳以上は終身会費として一括して会費を納める方式を採用しており成功しています。額の多少だけでなく、コンビニで送金できるなど支払いの方法を工夫している高校が多かったです。どの高校も、会員が会費を払うことの納得感を醸成するために、定期的な講演会、ゴルフコンペなどのイベントの開催や会報やホームページを充実させるなど知恵を出し合っているようでした。
■ 広告掲載について
広告という形態は、ほとんどの同窓会は行っていませんでした。広告は、営利を目的としていると判断されて税金を課せられることがありますので注意が必要です。会報などに載せる場合は、寄付のお礼という意味合いになると思います。
■ 会報の発行
会報は、どの高校も、年に1回〜2回発行しています。会報は同窓会にとって母校や同窓会の歴史を残すため、同窓会に情報を提供するための重要な媒体です。同窓会は会報の発行のためにあると言っても過言ではありません。
会報はホームページとは役割が違うもので代替できるものでないという考えの同窓会がほとんどです。高齢の同窓生はホームページを見る手段を持たない方も多く、会報が唯一の会との窓口となっていて会報を楽しみにしている同窓生も多いのです。
アナログ世代もお元気な今の時代に、ネットだけに広報活動を絞るのは、まだ時期尚早ということだと思います。
■ ホームページ
ホームページは、重要な情報伝達手段となっていました。それぞれの高校が工夫をこらして同窓生自らがホームページを内製しており、外部の業者に委託していた高校は、厚木高校、横浜翠嵐高校と同窓会を財団法人にしている希望が丘高校の3校だけでした。外注しているところも、本当は内製したいのだが作れる人がいないので、やむなく外部に委託しているということでした。
■ 終わりに
朋友とは何なのか、同窓会はどうあるべきなのか、伝統を継承しつつ新しいステージに上るためにはどうしたら良いのかということを、原点に戻ってもう一度、みなさんで考えてみてください。