ぶらり散歩「吉田庫三先生の足跡を訪ねて（世田谷・松陰神社）」

今年は、横須賀高校創立110年にあたる年なので、初代校長の吉田庫三先生のご先祖の吉田松陰が祀られている松陰神社に行ってきました。この神社の宮司の齋藤さんには、横高100周年の時に、記念誌「百年の風」(発行 2010（平成22）)を作る時に、たいへん、お世話になったことを、当時、編集長であった高5期の若杉さんにお聞きしており、事前に連絡していただきお会いすることができました。

松陰神社は、三軒茶屋から、東急世田谷線に乗り継いで松陰神社前駅で降り、松陰神社通りという商店街をまっすぐに歩くと５分くらいのところにありました。黒い立派な鳥居が待っていてくれました。渋谷からこんなに近い所で、懐かしい路面電車に乗れるとは思いませんでした。

　

松陰神社の説明には、吉田松陰が安政の大獄で刑死した4年後の1863（文久3）年に、高杉晋作や伊藤博文などの門下生によって、小塚原回向院（えこういん）にあった松陰の墓が当地に改葬され、1882（明治15）年に、この神社が創建されたと書いてありました。小塚原回向院は、ねずみ小僧次郎吉の墓で有名な両国の回向院ではなく、別院の南千住回向院のことです。松陰神社が建っている、この場所は毛利家の所領だったということを読んで、どうしてここにあるのかという疑問が解けました。

　

本殿の右側に松下村塾を復元した建物がありました。松下村塾は、1842（天保13）年に、松陰の叔父の玉木文之進が八畳一間の私塾を開き松下村塾と名付けたのが始まりということでした。少年だった松陰も入門して勉強しました。松蔭が教鞭に立ち塾生を教えたのは、２年くらいの短い期間だったようです。この小さな塾から、伊藤博文、山縣有朋、品川弥二郎、山田顕義などの明治新政府で活躍した多くの要人が輩出されたことは、本当に驚くべきことです。

　

　

吉田松陰は、国を憂い討幕論を唱え老中暗殺を画策して投獄され、安政の大獄により獄中で1859（安政6）年に30才の若さで刑死しました。壮絶な一生でしたが、今は、たくさんの志士達に囲まれた、とてもあたたかい雰囲気のお墓に眠っていました。神社のお墓らしく、青々しい榊が手向けられてたのが印象的でした。

　

社務所の手前に、石灯籠がずらりと並んでいました。松陰50年祭のときに行われた献灯式で、明治41年の時に、献灯されたもので、当時のお歴々の名が刻まれていました。明治41年は、いわずと知れた、横須賀中学の創設の年で、庫三先生は、ここの神社の総代を務められて、開校と、この神社の総代として、大変忙しい時を過されたということです。この鳥居は、その時に庫三先生によって御寄贈されたということを、若杉さん（高5期）からお聞きしました。

　

　

松陰神社の境内の左の松陰の墓所の近くに、たくさんの梅の木がありました。庫三先生の「梅城遺稿」の「梅城」という雅号は、この梅の木に因んで付けられたと云われています。（百年の風　朋友編）ちなみに、庫三先生の字（あざな）は寛です。吉田松陰も雅号のようなもので、墓石には吉田寅次郎と彫ってありましたが、その他にも多くの名前を使っていたようです。（※松蔭の名前）

　　

　

この梅に囲まれて吉田松陰の銅像が静かに佇んでいました。横高の庫三先生の銅像に、どこか面影が似ていると思いました。

　

松陰神社のおみやげに、この絵馬を買って帰りました。
「志を立てて以て萬事の源と為す」
吉田松陰の教えのエッセンスが凝縮された素晴らしい言葉だと思いました。庫三先生も、この薫陶を受けたものだと思います。横須賀高校創立百十周年の年に、松陰神社に参拝できたことに大きなご縁を感じ、たいへん感慨深い思いで松陰神社を後にしました。（高25期　廣瀬隆夫）

※松蔭の名前（高5期　若杉さんより）
・杉寅之助（幼名）
・吉田大次郎（山鹿流兵学の免許）
・吉田寅次郎、虎次郎（通称）
・吉田虎治郎（出獄指令書（藩から）1855（安政２）年
・吉田矩方（のりかた）、字（あざな）は義卿（ぎけい）（松下村塾記）1856（安政３）年
・吉田松陰（書状（久坂玄瑞宛）1858（安政５）年
・吉田矩方（絶筆（永訣書・家族））1859（安政６）年
・二十一回猛士（留魂録（最後の言葉；門下生宛）1859（安政6）年
■　関連リンク

【松陰神社前松陰神社 - 吉田松陰の「志」と暮らしが溶け合う場所】
http://motokurashi.com/shoinjinjamae-shoinjinja/20170310

【松陰神社ホームページ】
http://www.shoinjinja.org/

【松陰神社ウイキペディア】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E9%99%B0%E7%A5%9E%E7%A4%BE