▶名歌手藤山一郎が唄う城ヶ島の雨(高22期 松原 隆文)
あくまで個人的印象だが、この歌は梅雨時の歌だ。鬱陶しい季節の三浦の情景を唄ったものだ。しかも対岸の向が崎から城ヶ島を見た風景だ。
これも偏見だが、日本の歌曲は肩肘張った曲が多い。日本的情景に西洋音楽を当てはめるので無理があるのだろうか? 若いとき、滝廉太郎がなんでそんなに偉いのか?と不思議に思った。しかし今思えば、この人は、差し詰め、日本的情景と西洋音楽を融和させた先駆者なのであろう。 明治以降の日本人は、産業だけでなく、西洋の文化芸術ともしっかり向き合ってこれを吸収してきたと思うと胸が熱くなる。
先日ラジオを聴いていたら,明治時代の芸大の合唱の録音が残っていて、スコットランド民謡のアーニーローリーの歌詞が、何と一番紫式部・二番清少納言であった。恋の歌詞を当時唄うのは妥当ではなかったのだろうか。
話は戻るが、この城ヶ島の雨は古今の名曲だと思う。 しかし歌手にとっては難物ではないか?半音を多用し、音程も取り難い。流行歌手が歌うと唄いきれない。声楽家が歌うと仰々しい。誰が唄うのを聴いても帯に短し襷に長しだ。少し前にテレビでコーラスグループが唄っていたが聴くに堪えなかった。しかも音程を外していた。
しかし藤山一郎さんは期待を裏切らなかった。情感豊かでしかも端正、非の打ち所が無い。この人の歌う白鳥の歌(若山牧水)も素晴らしい。 不世出の名歌手ですね。
見事なテンポ・ルバートですね。編曲者によってなのか藤山一郎の歌い方でこうなったのかわかりませんが、演奏と一体となっていると思います。彼は声色に癖があって馴染めない歌い方もありますが、この曲は良いです。「櫓は歌でやる」の転調で梅雨の晴間が見えるようで「通り矢のはなを」も情景が浮かびます。北原白秋と梁田貞に拍手です。
初めて通して聴いてみましたがかなりのルバート、伴奏者泣かせですね。そのメロディーも難しく、相当聴き込まないとアカペラで音が取れないのでは。鼻歌で歌えない曲は難しいということです。
関連して、自分でバンドをやる割に私がカラオケをしないのは、機械に歌わされているように感じるから。つまり、リズム楽器なしのギターだけのバンドは自然に揺らいでしまい、後で録音に合わせて弾いてみてもまずテンポが合いません。それも「味」の一つかと思いますけど。
私、ほぼ唄えますが、楽譜があった方がいいですね。私は楽譜読めませんが、楽譜を見ながら唄うと、音の高低がわかりますので、より正確に唄えますね。
出だしの、「雨は降る降る」も、これを、あめはふうるふうる、と唄いがちなんですが、正しくは、あめはふるふうる、なんですね、楽譜がそうなっています。
藤山一郎さんの歌唱は正確無比ですね。
この投稿は実は梅雨時にしたかったんですね。ちょっと季節が外れました。
ところで、えーええ、のセリフは三崎の祭りの木遣りを取り入れたらしいんですね。藤山さんは普通にえーええ、と唄っていますが、これを木遣り風に唄えば、えー、え・え・え・えとなるんですね。
事実、このように唄う人もいます。
ついでながら、彼の唄う青い山脈や長崎の鐘、更には懐かしのボレロなんか最高ですね!
僕は「ええーええええふーねはーああろでやる」です。
木遣り風ですね。良く分かりますネ。かなりマニアックです!