▶モーツアルトのディベルティメント第15番第4楽章アダージョ k287(高22期 松原 隆文)

 個人的好みを許されるなら、私はこの曲がモーツアルトのナンバーワンだ!とても人間が作った曲とは思えない。ギリシャ神話に出てくるニンフが作ったのではないか?しかも彼が21歳の時の作品と言うから、やはり人間離れした人だ。以前カールベームが、「ベートーベンが眼前に現れたらどうしますか?」 と問われたとき、「最敬礼します!」と答えている。「ではモーツアルトなら?」と問われたら「卒倒してしまうでしょう!」と答えている。要するにモーツアルトとはそういう人だ。

 彼の曲は明るい悲しさと言われる。どういうことだろうか?家族や愛する人が死んだりあるいは失恋したり、計らずも別れなければならなくなった時は悲しいものだ。しかもそれは暗い悲しさである。差し詰め、ショパンのピアノ曲は、この暗い悲しみの典型ではないだろうか。ではモーツアルトはなぜ明るい悲しさなのであろうか? 真っ赤な太陽が沈む時、人は誰でも悲しくなる。太陽は翌朝には必ず昇ってくるから心配は無いのだ。しかし何となく悲しい。 これは私的な出来事ではなく、人間がどうしても抗えない自然の摂理や法則を実感したとき、無性に悲しくなるのではないか?モーツアルトの悲しさはこれに近いのではないか?ディベルティメント第15番第4楽章を聴くと、自然の法則をさりげなく音楽にしているような気持ちになる。だから一日中聴いていても飽きない。太陽を一日見ていても飽きないのと同じであろうか?

 僭越ながら、モーツアルトの名曲を少しだけ紹介したい。
・バイオリンソナタk378
 この曲、霊感を感じるような名曲だ。アルテュール・グルミオーとクララ・ハスキルの1958年番がお薦めだ。

・弦楽五重奏曲k516
珍しく短調の曲だ。何か諦観を感じるような枯淡の名曲だ。ヨーゼフ・スークとスメタナ弦楽四重相談のライブが素晴らしい。

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