▶昭和のラジオ・テレビ物語:第6話(高22期 高橋揚一)

(昭和99年12月)
【ブラザーズ/シスターズ】

♬地球の上に朝が来る その裏側は夜だろう 西の国ならヨーロッパ〜 東の国は東洋の 富士と筑波のあいに流るる隅田川 芝で生まれて神田で育ち 今じゃ浅草名物で ギター鳴らして歌うたい 森羅万象もの全て リズムに乗せて吹きまくる これぞ4人の乳兄弟で 英語で言うならミルク・ブラザーズ はたしていかなる玉手箱 時間来るまで務めましょう♬
「川田晴久とミルク・ブラザーズ」の不朽のテーマ曲である。

メンバーが順次流行歌を歌ってその歌詞をもじってお笑いネタにする。川田晴久が坊屋三郎や益田喜頓らと戦前に結成した「あきれたぼういず」時代からの手法だ。川田晴久の死後、弟子たちはそれぞれボーイズを結成し、オープニングは必ず「地球の上に朝が来る」から始めている。

灘康次は「灘康次とモダン・カンカン」を結成し、全員がカンカン帽をかぶって登場したが「小島宏之とダイナ・ブラザーズ」を結成した小島宏之は、川田晴久と同じビーチパラソルのようなカラフルなキャップとアイボリー・カラーのフル・アコースティック・ギターのスタイルを踏襲した。
父親に連れられて横須賀汐留の市民会館に見に行ったことがある。

メンバーにスティール・ギター奏者を加えてハワイアンやムード歌謡を多く取り入れた。エンディングには定番の「ちょうど時間となりました…」に続いて、スティール・ギターによる「Bei Mir Bist Du Shein」のメイン・メロディが流された。

この曲は東欧に住むユダヤ人の言語のイーディッシュ語で作詞された哀愁あるメロディのジャズ。原題は「Bei Mir Bistu Shein」、ドイツ語では「Bei Mir Bist Du Schön」と表記され、日本語では「素敵なあなた」と訳されている。
3人姉妹の「The Andrew Sisters」が第二次世界大戦中に英語で歌ってアメリカでヒットした。1オクターブ内に3人の和音が構成される柔らかなクローズド・ハーモニーと多くのスタンダード・ナンバーに付いているヴァース(メイン・メロディの前の前歌)に特徴がある。

日本では「黄色いさくらんぼ」の「スリー・キャッツ」や「ミツワ石鹸CM」の「スリー・バブルス」など1950年代や1960年代にはクローズド・ハーモニーを売りとする「シスターズ」が多く登場した。
男性の「ブラザーズ」にはコミック・バンドが多いのに対して女性の「シスターズ」にはコーラス・グループが多かった。

そんな中で「かしまし娘」はギターに三味線を加えてクローズド・ハーモニーができる数少ない芸人「シスターズ」。「寄〜ったら」と「ピーチクパーチク」の和音がセクシーだった。
♬うちら陽気なかしまし娘 誰が言ったか知らないが 女3人寄〜ったら かしましいとは愉快だね Very good good Very good good お笑いおしゃべりミュージック 明るく歌ってNight and day ピーチクパーチクかしーましい♬

♬これでおしまいかしまし娘 またの会う日を楽しみに それでは皆様ごーきーげんよーう♬

皆様良いお年をお迎えください。

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