▶昭和のラジオ・テレビ物語:第5話(高22期 高橋揚一)
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【お笑い三人組】(昭和100年2月)
『お笑い三人組』は1956年から1966年までNHKテレビで放送された生放送の舞台中継。
オープニングはタイトルバックにインストルメンタルのテーマ曲が流れた。
エンディングは三人の生歌。いつも歌うテンポが早くなって生バンドの伴奏が所々音を飛ばしながら歌に追いつくように指揮されていた。
♬アハハウフフ 三人元気に顔出して ニコニコニッコリ笑ったら 心はいつでも青空だ どこからどこまで青空だ アハハウフフ エヘヘのオホホのアハハのハ 僕らはお笑い三人組♬
配役は、はっちゃんこと村上クリーニング店の八太郎役のものまね芸人江戸家猫八、しょうちゃんことニコニコクレジット営業マン正二役の講談師一龍齋貞鳳、りゅうちゃんこと食堂満腹ホールのマスター竜助役の噺家三遊亭小金馬。この三人が中心となって繰り広げるコメディ。
八太郎の恋人おたまちゃんこと珠枝役の楠トシエ、しょうちゃんの妻マッチこと真知子役の桜京美、りゅうちゃんの妹かおる役の音羽美子がそれぞれの相手役。
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ほかに八太郎の峰松叔父役の渡辺篤、おたまちゃんの母親おふで婆さん役の武智豊子、りゅうちゃんとかおるの父親役の木田三千雄、満腹ホールのアルバイト出前持ち役の矢野目がんがレギュラー。かおるの恋人役の千葉信男や池内淳子の元夫の柳沢真一などの準レギュラーと歌手や俳優などによる毎回のゲストでドラマが展開されていた。
舞台のあまから横丁は、中央の路地をはさんで右に満腹ホールの暖簾と店内、左におたまちゃんの母親のナガシマ化粧品店があり、その2階にしょうちゃん夫妻が下宿していて、ナガシマ化粧品店の左隣に村上クリーニング店の店頭カウンターがあり峰松叔父がいつもアイロンがけをしていた。おたまちゃんが店先で何かしているところにはっちゃんが出てきて「はっちゃん、おたまちゃん、うーっ」と言い合うのが定番。
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世相を反映したストーリーが多く、自動車が徐々に増えてきた昭和30年代の道路規制で細い路地が一方通行や進入禁止になってしまった巻では、近所に歩いて出かけたおふで婆さんがいつまで経っても帰って来ないので皆で心配していたら、どこも一方通行や進入禁止で思わぬ方向に歩かされてなかなか戻って来られなかったといった場面も。
あまから横丁は人情の下町。三人娘によるアップテンポの明るい挿入歌は、三人組のエンディングよりはるかに上手な三人娘によるクローズド・ハーモニーのコーラスから始まり、おたまちゃん、かおる、マッチの順にソロで歌う。
かおるの時はバラードで、おたまちゃんとマッチのダンスが始まりテンポが戻る時にマッチの足技でおたまちゃんがひっくり返るギャグが入った。
♬涙もろくて意地っ張り いーつものんきで朗らかな あまから横丁はどこにあるるるんるんるん ホントのことを言いましょか そーれはあなたーの胸の中………♬
真知子役の桜京美は『チロリン村とクルミの木』では「かっぱのコン吉」役で「コンキリプー」の台詞を流行らせた。かおる役の音羽美子は俳優平田昭彦の妹で三ツ矢歌子と久我美子が義姉の芸能一家で歌手としても活躍している。おたまちゃん役の楠トシエはCMソングの女王と呼ばれ、1960年代の多くのCMソングを歌っていた。『ひょっこりひょうたん島』のサンデー先生役としても知られている。
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