▶e-Taxを使ってみた(高25期 廣瀬隆夫)

ひょんなことから、面倒そうなので長年避けていたe-Taxなるものをやるはめになった。マイナポータルには、スマホを使ってログインしていたが、そこからe-Taxのサイトに入るのは面倒くさそうだ。そこで、ICカードリーダを購入してパソコンからサクッと入ってみたくなった。e-Tax(イータックス)は、国税庁が提供している税金の電子申告・納税システムである。確定申告は、今は紙でやっているので将来は、これでやらなければなあと思っていた。
さっそく、ノジマに行ってSONY製のICカードリーダを購入した。3000円ちょっとで、そんなに高価なものではない。セットアップガイドを読みながら設定した。パソコンのUSBに接続してドライバーをインストールすると物理的にはつながるのだが、そのあとにアプリをインストールしないと何もできない。PASMOを読むためには、Felicaのアプリが必要。FeliCa(フェリカ)は、ソニーが開発した非接触型ICカードの技術方式。交通系ICカードのSuica、PASMO、ICOCA などや電子マネーの楽天Edy、QUICPay、nanaco などはみんなこの技術を使っている。ソニーはこの特許料でかなり儲けているのだろう。アプリをインストールしたら、PASMOの中身を簡単にパソコンで見ることが出来るようになった。でも駅のカード読み取り機でも見れるので、それほど便利とは感じなかった。
これで、e-Taxやマイナポータルに簡単に入れると思ったら甘かった。Webでサービスを使うためには、それぞれのアプリをインストールする必要があるのだ。ワンストップになっていない。言われるままにインストールしたら結局10個近く(8個)のソフトをインストールする羽目になった。ようやくマイナンバーカードをICカードリーダにかざしてe-Taxのホームページにログインすることができるようになった。マイナポータルのHPにも簡単にログインできる。マイナ保険証を使っていれば、医療費を全てここで確認できる。ねんきんネットにもマイナポータル経由でアクセスできる。便利と言えば便利だが、マイナンバーカードと4桁の数字のパスワードを盗まれたら誰でも健康保険や年金の基本情報にアクセスできるというのは危険だ。
e-Taxのホームページにアクセスできるようになったので、肝心の書類の申請をすることにした。申請のページまで進むと画面は表示されるのだが、ボタンを押しても何も反応しない。色々手を尽くしたが結局ダメ。仕方なくGoogleのChromeからマイクロソフトのEdgeにブラウザを変えてみた。すると普通に操作できた。良くあるベンダーロックインである。ベンダーロックインとは特定のベンダーのツールでしか使えないアプリのこと。役所が作ったソフトでは、よくあることだが国税庁に文句を言っても仕方がないので、e-Taxを使うときだけマイクロソフトのEdgeを使うことにした。
ということで、めでたくe-Taxで国税庁のサービスの申請ができるようになったのだが、使えるようになるまで半日くらいかかった。ゼロから自力で設定して使っている人はどれだけいるのだろうか。1990年代のインターネット接続はこんな感じだった。今は、パソコンを買ってきて、WiFiにつなげばすぐにインターネットにアクセスできる。そうならなければ、e-Taxやマイナポータルを万人が使えるようにはならないと思った。それに、マイナンバーカードが盗まれてパスワードが漏えいしても他人が使えないようにするセキュリティをかけないと危ないと思った。日本のデジタル先進国への道は、まだまだ遠い。ガンバれ、デジタル庁。