▶あなたは誰ですか?(高25期 廣瀬隆夫)

健康診断が無料で受けられるという通知が来たので、インターネットで登録して受診しました。腎臓、肝臓、大腸、前立腺、肺など、一通りの検査が用意されています。体重、身長、検尿、検便、レントゲンと順に受けていきますが、そのたびに本人確認の書類を書きます。
住所、生年月日、電話番号、日頃の健康状態など、似たような内容を何度も記入することになりました。取り違いがないように厳重にしているのだろうと思いますが、パソコンばかり使って文字を書くことに慣れていない私にとっては、漢字が書けないし、かなり面倒な作業でした。最初にマイナンバーカードで顔認証を使って本人確認をしているのですから、それで十分ではないかとも思いました。
一方で、インターネットの世界では事情が逆です。たとえばネット通販やSNS、メールでは、ほとんどの場合パスワードだけで本人確認が行われています。本当は住所や生年月日を入力させた方が確実なのでしょうが、個人情報が漏れることを恐れて入力させないのだと思います。
パスワードは、コンピューターのタイムシェアリングシステムが登場した1960年代から半世紀以上使われている、きわめて単純な認証の仕組みです。そしてハッキングの多くは、パスワードを盗まれることから始まります。パスワードに頼っている限り、サイバー犯罪はなかなか減らないのではないかと思います。
現実の世界では厳重すぎるほど本人確認をするのに、インターネットでは驚くほど簡単に済ませてしまう。その違いに疑問を感じました。これほどAIが発達している時代ですが、「あなたは誰ですか」という根源的な問いこそ、いちばんシステム化しにくいのかもしれません。
知らない国に行って、Who are you?と聞かれたら何と応えますか?

