▶続・生成AIのお話(高22期 伴野明)
2:あっと驚く作画
『生成AIのお話』を書き出したのは、「便利、便利、こんなに便利になったのはAI様のおかげです」と浮かれている皆さんに向け、その危険性について話題にしたかったからで、お勧めしたいのではありません。
まずは実例を挙げ、生成AIがどんなに凄いものであるか、そしてそれが悪用された場合の途方もない害、についてお話を進めたいと思っています。
生成AIの威力としてまず作画が分かりやすいでしょう。例はWindows11 で誰でも利用できる生成AIのCopilot DALL.E3のプロンプトに『東京スカイツリーが強風で倒れる場面』と入力すると、ほんの10秒ぐらいで、自動的に少し趣の違う4枚の絵が出力されます。
これはその一枚です。
どうでしょう、この絵が示している通り、脅威の能力です。
まず、これで挿絵画家は廃業になりますね。
他にも、絵に限らず生成AIによって多くの職業が致命的な影響を受けるでしょう。
この絵は写真のように見えますので、次に人間くさい絵を描かせて見ました。
ご存じ『ムンクの叫び』ですが、プロンプトに『人物を三島由紀夫にしてください』と入れたら
こんな絵を描いてくれました。ちょっと三島由紀夫には見えませんが、ご愛敬です。
続いて『鉄腕アトムが絵を描いているところ』と入力すると、
アニメでもOKなんですね。
「少し困らせてやろう」と思って意地悪な入力をしてみました。
『鉄腕アトムが失恋した絵』
どうでしょう、ちゃんとハートブレイクしています。顔も悲しそうじゃありませんか。
もう一枚は
自殺しそうな雰囲気ですね。
『心情を絵として書く』---ここまで出来るんです。
生成AIは膨大な情報から、それらしい回答を選び出して並べているに過ぎない---皆さん、そう思えますか?
こういう絵を見せつけられると、昔のAIのプログラミングで多用していた単純な「if then else構文」では実現できない別物だということが分かりますね。ちょっと恐ろしくなります。今回、ノーベル物理学賞をAI研究が受賞しましたが、すごい技術なんでしょうね。でも、この研究が物理学の分野かと問われると疑問が残ります。コンピュータサイエンス分野を新設したらどうかという意見も出ているようですが賛成です。