▶ラムセス大王展(高22期 加藤 麻貴子)

*古王国時代(BC2686年頃~)
この時代に、最初の階段ピラミッドが建設されました。特にBC2500年頃の第四王朝下では、ギザの三大ピラミッドが造営され、ファラオの強大な権力を示しました。

*中王国時代(BC2055年頃~)
「知恵の時代」と呼ばれる文化的成熟期を迎えました。中央集権化が強化され、官僚制度と組織的な税制が確立。ナイル川の治水工事により、ファイユーム盆地は広大な穀倉地帯に変貌しました。

*新王国時代(BC1550年頃~BC1070年頃)
エジプト文明が政治、軍事、文化のあらゆる面で最高潮に達した円熟期です。若くして即位したツタンカーメン王もこの時代(BC1332年頃から約10年間)に在位しました。その後のラムセス大王は、この新王国時代を代表するファラオです。この時代の終焉と共に、エジプトは分裂と周辺国の影響かに置かれます。

*プトレマイオス朝と終焉
BC332年にはギリシャのアレクサンドロス大王に征服され、その死後、将軍がプトレマイオス朝を創設。首都アレクサンドリアには有名な大図書館が設立されました。最後の女王クレオパトラがBC30年に没したことで、エジプトはローマ帝国に併合されました。

*ラムセス大王の66年の長期統治
ラムセス2世は新王国時代19王朝のファラオです。BC1279年頃に20代半ばで即位し、約66年間という長期にわたり、強力なリーダーシップをもって統治しました。

彼の身長は180cmの長身だったとされ、正妃ネフェルタリをはじめとする王妃や側室との間に、100人を超える子どもをもうけたと記録されています。「カデシュの戦い」での武勇伝は伝説的で、また製鉄技術で優位にあったヒッタイトとの長きにわたる戦争を経て、BC1269年頃には平和条約を締結しました。これは、国家間の勢力圏の策定や相互援助の規定を含む、現存する世界最古の初めての書面による平和条約の一つです。その粘土板のレプリカは、現在、ニューヨークの国連安全保障理事会会議室に展示されています。

統治期間中、ルクソール神殿や、カルナック神殿の拡張、そして自らの偉大さを刻んだアブ・シンベル神殿など、後世に名を残す巨大な建造物を数多く建設しました。

展覧会ではラムセス2世時代の高度で洗練された金の宝飾品や、彼が建設させた神殿の構造を再現した展示から、古代エジプト文明の卓越した技術と芸術性に驚愕いたしました。

また、ラムセス2世のミイラが20世紀にフランスへ輸送された際、儀仗兵による最高の経緯をもって迎えられたというエピソードは、彼の威厳が時代を超えてみとめられているのだと思いました。また彼のミイラからCG復元した彼の顔の写真はとても尊大で威厳がありました。そしてラムセス大王の軍事・外交・文化における功績の深さを改めて実感しました。

同時に、ヒッタイトとの間で結ばれた平和条約の条項は、勢力圏の確定や相互援助など、現代の国際法にも通じる内容であり、平和への希求を感じさせます。現代において国家間の争いが絶えない現状を嘆かわしく思うと、紀元前に交わされたこの平和の誓いが、私たちに重い示唆を与えていると感じました。

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