▶国立科学博物館「大絶滅展」に行ってきました(高25期 廣瀬隆夫)

そのたびに、地球上の生物の7割、8割、時には9割近くが死に絶えたというのです。それでも生命は完全には途切れず、わずかに生き残ったものたちが、気の遠くなるような時間をかけて多様な進化を遂げ、今の生物世界へとつながってきました。その「しぶとさ」には、畏敬の念を抱かずにはいられません。

一方で、人類の歴史はせいぜい600万年から700万年ほど。地球の時間軸から見れば、ほんの一瞬にすぎません。人類がこれからも生きながらえ続けること自体が、もはや奇跡に近いのかもしれません。そう考えると、人類がこの先も生きながらえ続けることができるのか、不安を覚えます。

現代世界の状況は、決して楽観できるものではありません。国連憲章を顧みない行動、地球温暖化を詐欺だと公言する言説、SDGsを否定する姿勢――そうした現実を見聞きするたびに、「人類の滅び」という文字が、近い将来の出来事として浮かび上がってくるのです。

過去の大絶滅の原因は、巨大火山の噴火や地殻変動、小惑星の衝突といった、防ぎようのない自然現象でした。しかし、現在進行している危機は違います。人間が生み出した活動そのものが気候を変え、生態系を揺るがし、かつてない規模の危機を招いているのです。

絶滅や気候変動が将来に何をもたらし得るのかを想像し、そのための準備や対策を講じることができる存在は、多くの生物種の中で人類だけです。その事実を、私たちはもっと重く、真剣に受け止めるべきなのだと思います。

生命は何度も絶滅の淵から立ち上がってきました。けれど、人類自身の手で引き起こす大絶滅だけは、何としても避けなければならない――。
「大絶滅展」は、そんな静かな警鐘を、私たち一人ひとりに投げかけているように思えました。

最後の展示パネルにこんなことが書かれていました。

【わたしたちに できること】
大量絶滅事変の研究により、各事変の原因やプロセスへの理解が進むと同時に、それらが現在の生物多様性に繋がってきたことがわかってきた。複雑な自然現象の総合的な理解には至っていないものの、このことは現在起こりつつあると言われる絶滅や気候変動が将来何をもたらしうるかを予想し、準備や対策へと繋がるはずだ。多くの生物種の中で、人類のみが唯一、それを出来うる存在なのである。

▶国立科学博物館「大絶滅展」に行ってきました(高25期 廣瀬隆夫)” に対して3件のコメントがあります。

  1. 和田良平(高17期) より:

    科博へいかれたようですね。私も行ってみようと考えています。人間が生きていることは、確かに「奇跡」という感がありますね。これからも生き続けていくことにも、「奇跡」があるかも。しかし、現在の世界を見てみると、全く目を覆う状況です。国連憲章を守らない国や、地球温暖化を詐欺だと公言する国などを見ると、文明は滅びるという文字が浮かんできます。

  2. 廣瀬隆夫 より:

    本当に世の中おかしくなりましたね。最近は、SDGsや生物多様性も間違っていると言い出す人も出てきています。この展示会にはNHKも協賛しているのですが、TVで宣伝しないということは、変なことを言っている国に気を使っているのかもしれませんね。午前中も人が多かったですが、午後からはもっと混むようです。

  3. 和田良平(高17期) より:

    科博は午前中が狙い目とは、NHKの2時間で回る観光地で言っておりました。私も行ったときは午前中でした。年寄りは通常の展示は無料なのですが、特別展示が狙い目ですから入場料が必要になっちゃいますね。何で世の中がこんなにおかしくなったのか?不思議でたまりません。

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