▶「高市答弁」を支持する米上院外交委員会の決議文を読む (高22期 高橋 克己)

19日の朝刊各紙が、米上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会が17日に公表した「中華人民共和国による日本への政治的、経済的、軍事的圧力に対し、日米同盟への揺るぎない支持を表明する」と題する決議文を報じました。リケッツ委員長のサイトにある決議全文を以下に紹介します。AI翻訳アプリ「DeepL」で和訳しました。
DAV25N76 W1R S.L.C.
119TH CONGRESS 1ST SESSION S. RES. -
Expressing unwavering support for the United States-Japan alliance in response to political, economic and military pressure by the People’s Republic of China against Japan.
中華人民共和国による日本に対する政治的、経済的、軍事的圧力に対し、日米同盟への揺るぎない支持を表明する。
IN THE SENATE OF THE UNITED STATES -
Mr. RICKETTS submitted the following resolution; which was referred to the Committee on ?
リケッツ氏は委員会に付託された以下の決議案を提出した。
RESOLUTION 決議
中華人民共和国による日本に対する政治的、経済的、軍事的圧力に対し、日米同盟への揺るぎない支持を表明する。
一方、1951年以来、日米同盟はインド太平洋地域の平和、安全保障、繁栄の礎として機能してきた。
一方、2025年10月4日、日本は初の女性首相である高市早苗を選出した。
一方、2025年11月2日、中華人民共和国外務省は、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)経済リーダーズ会議において、高市首相が台湾の高官と会談したことを厳しく非難したが、台湾は1991年以来APECの積極的なメンバーであり、APECではこのような会談が定期的に行われているという事実がある。
一方、2025年11月7日、日本の国会議員から、仮に中国が台湾海峡を封鎖し、米国軍が関与した場合についての質問に対し、高市首相は「戦艦が使用され、海上封鎖が武力行使を伴う場合、それはいかなる基準においても日本の『生存を脅かす事態』に該当すると考える」と答弁した。これは日本法上の法的用語であり、東京が米国との集団的自衛権を行使することを可能とするものである。
一方、高市首相はさらに「日本政府は実際の状況の具体的な事情に基づき、あらゆる情報を総合的に判断する」と明らかにした。
一方、高市首相の発言は、当時の岸信夫防衛相が2021年に「台湾の平和と安定は日本に直接関わる」と述べたことや、当時の麻生太郎副首相が「台湾で重大な問題が発生した場合、それは(日本の)生存に関わる事態と言える」と発言したことなど、日本の指導者による過去の発言と一致している。また当時の麻生太郎副総理が「台湾で重大な問題が発生すれば、(日本の)生存に関わる事態に発展すると言っても過言ではない」と述べたことなど、日本の指導者層による従来の発言と一致している。
一方、2025年11月7日、中華人民共和国大阪総領事はXへの投稿で、高市首相の国会発言を批判し、「ためらうことなく我々に襲いかかってきたその汚い首を斬り落とすほかない。覚悟はできているか?」と述べた。
一方、2025年11月7日以降、中華人民共和国は、映画やコンサートを含む多くの日本の文化公演を中国国内で事実上停止または阻止しており、会場側には、2025年残りの期間における日本人音楽家をフィーチャーしたコンサートは中止されると伝えられたと報じられている。
一方、2025年11月14日、中華人民共和国は自国民に対し日本への渡航や留学を避けるよう促す渡航注意報を発表し、これを受けて主要航空会社は中国人旅行者への払い戻しを提供し、便をキャンセルした。
一方、2025年11月16日、中国海警局の船舶が日本の実効支配下にある尖閣諸島周辺の海域を航行したため、日本がこれに対応して自国の海上保安庁の船舶を派遣した。
一方、2025年11月18日及び2025年12月1日、中華人民共和国は国連に対し、高市首相の発言を批判する書簡を送付した。
一方、2025年11月19日、中華人民共和国は、日本からの水産物輸入に対する2023年の禁止措置を再発動すると発表し、日本産牛肉の中国への輸出再開に向けた協議を中断した。
一方、2025年11月20日、国務省副報道官は次のように述べた。「米国と日本の同盟関係、および日本が管理する尖閣諸島を含む日本の防衛に対する我々のコミットメントは揺るぎない。日米同盟はインド太平洋地域の平和と安全の礎であり続ける。我々は台湾海峡、東シナ海、南シナ海における現状変更を、武力や威圧を含むいかなる一方的な試みによっても断固として反対する。」と述べた。
一方、2025年12月2日、日本の漁船が尖閣諸島付近に接近した際、海上保安庁が中国海警局の船舶2隻を阻止し、退去させた。
一方、2025年12月6日、中国人民解放軍海軍の遼寧号空母が日本の沖縄島近海で演習を実施し、また国際水域において、2機の中国J-15戦闘機が別々の機会に2機の日本F-15戦闘機に対してレーダーを捕捉した。
一方、2025年12月9日、ロシアの核搭載可能な戦略爆撃機Tu-95 2機が、中国の爆撃機H-6 2機及び戦闘機J-16 4機と合流し、日本の沖縄と宮古島の間の公海上で共同哨戒を実施した。
一方、2025年12月9日、国務省報道官は次のように述べた。「中国の行動は地域の平和と安定に寄与しない。日米同盟はこれまで以上に強固かつ結束している。同盟国である日本への我々のコミットメントは揺るぎないものであり、本件を含む諸問題について緊密に連絡を取り合っている」;
一方、2025年12月11日、米国戦略爆撃機が日本の戦闘機と共同で日本西部空域付近における合同軍事演習を実施し、日本の統合幕僚監部は「武力による現状変更の一方的試みを阻止する強い決意と、自衛隊と米軍との間の即応態勢を再確認した」と述べた。
一方、2025年12月14日、中華人民共和国は、日本の自衛隊統合幕僚長を務めた経歴を持つ岩崎茂氏(台湾内閣顧問)に対し、「台湾独立」分離主義勢力との共謀の疑いで制裁を発動した。よって、ここに決議する。
上院は決議する―
(1) 中華人民共和国政府が、米国の防衛条約同盟国である日本に対し、経済的、軍事的、外交的強制及び侵略を行使したことを非難する;
(2) 日本政府が中華人民共和国政府の以下の試みに反対していることを称賛する?
(A) 地域の安定を損なうこと;及び
(B) 力や威圧によって台湾海峡の現状を一方的に変更すること;
(3) 日本の平和と安全への取り組み、及び自由で開かれたインド太平洋を維持する上での主要な同盟国としての継続的な役割を認識する;
(4) 日本政府が、地域全体の抑止力を強化するための能力に投資するため、防衛費の増額に取り組んでいることを称賛する。
(5) 日本政府が、一方的な挑発が継続しているにもかかわらず、中華人民共和国政府との緊張を緩和するための努力を行っていることを称賛する。
(6) 米国が日米安全保障条約第 5 条に対する揺るぎないコミットメントを再確認し、尖閣諸島が同条の範囲に含まれることを再確認する。(7) 日本政府および日本国民と連帯し、日本に対する嫌がらせや緊張の高まりを図る中華人民共和国政府の試みに反対する。
以上の通り決議文は、この事案に関する出来事を事実に沿ってほぼ余すところなく記しています。一つ重要な抜けを指摘するなら、「戦艦が使用され、海上封鎖が武力行使を伴う場合、それはいかなる基準においても日本の『生存を脅かす事態』に該当すると考える」の後に高市総理が続けた以下の一節です。
例えばその海上封鎖を解くために米軍が来援をすると、それを防ぐために何らかの他の武力行使が行われる。こういった事態も想定される・・。
「来援した米軍に(中国からの)武力攻撃が行われる」ことこそが「存立危機事態の核心」です。とはいえ、「高市答弁」を強く支持するこうした決議が超党派の上院議員によってなされたことは、日本の安全保障とそれを担う高市政権にとって実に心強いことです。
トランプ大統領自身は「高市答弁」について、これまで表立って発言をしていません。が、12月に入り上記に加えて25年版の「国家安全保障戦略」と「中国に関する連邦議会・行政府委員会報告書」を矢継ぎ早に公表したホワイトハウスと議会が、大統領の意向を代弁していると推察されます。


