▶小川先生の特別授業 第10回「身近な事件(事象)と科学Ⅱ」
■ 日時;2018年6月2日(土)
第1部 小川先生の特別講義(14:00~16:30 横須賀市産業交流プラザ 3階(汐入)
第2部 小川先生&みんなで語る会(17:00~21:00 鳥の巣 横須賀本店)
参加者:21名(1組19名、2組1名、4組1名)
第10回目の小川先生の特別授業に参加しました。この授業は、高25期1組のクラス会の一環として行われているもので、今年で10回目になります。クラス会は、卒業後、毎年開催を続けおり、今回で45回目になります。私は、高25期2組ですが、特別聴講生として幹事の渡辺さん、小川先生のお許しをいただき参加させていただきました。
途中、10分の休憩をはさんで、2時間半にわたり難しい物理や化学のお話を分かりやすく説明していただきました。私たちは、63歳、64歳ですが、93歳になられた小川先生から見ると、まだまだ青二才です。定年退職して第二の人生に向かって歩んでいる方が多いと思いますが、老け込んではいられない、これからもしっかり人生を歩んでいこう、という気持ちになりました。小川先生、本当に、ありがとうございました。(高25期 2組 特別聴講生 廣瀬隆夫)
小川先生特別寄稿エッセイ
【教師の生きがい】
【先生は往生際が悪い】
1)第1部 小川先生の特別講義
今年の特別講義は、前回の続編ということで「身近な事件(事象)と科学Ⅱ」というテーマでした。
①温度(熱)について
②力と運動(運動方程式)
③その他いろいろ
● 枕のお話
はじめに年をとると忘却力が高まるというお話をされました。物忘れは、マイナス面ばかりでなく、良いこともある。忘却力が高いと、いつも新鮮な驚きを感じることができるということでした。先生は、映画がお好きで、年に20本以上の映画をごらんになるそうですが、忘却力のおかげで何度同じ映画を観ても新鮮な感動を覚えるということでした。
そこで”忘れおきな”のお話をされました。昔、物忘れが激しい翁がいて、彼は、生涯1冊の本しか読まなかったそうです。読んでもすぐ忘れてしまうので、気に入った1冊の本を、一生ずっと繰り返し読んでいたそうです。私も、”忘れおきな”に近づいており、最近は、同じ本を何度も買ってしまいます。
先生は、大谷選手がお好きなようで、テレビで良く見るようです。試合結果には興味がなく、大谷選手がどんな活躍をされたかに注目しているということでした。
新聞もよくお読みになるそうです。新聞にセンター試験の問題が出ますが、先生は、毎年解かれているそうです。物理は、それほど変わりませんが、化学は、ものすごく難しくなっているそうです。あの問題で平均が60点を超えているということは、今の学生は大したものだとおっしゃっていました。
また、最近、自動車の免許更新をされて、その時の学科試験が89点、実地試験が100点ということでした。運転に際しては、夜、雨、バック走行に注意をされているということでした。
①温度(熱)について
温度の感じ方は、人によって違うので、絶対的なものでない。同じ40度でもインドネシアと北欧に住んでいる人では、感じ方が違うようです。また、40度でも湿度が低ければそれほど暑いとは感じないということでした。大谷選手が、ロサンゼルス・エンゼルスを選んだ理由は、そこが暖かいからだそうです。スポーツでも温度が大切だというお話。
液体と気体の違いは、液体は表面があり気体にはそれがないということも面白かったです。白は光を反射する、黒は吸収する、だから白地に黒いインクで書かれた文字が読めるというのもアタリマエのことを突き詰めて考えるとこうなるのですね。
・美味しいコロッケの温め方:電子レンジで中から温めておいて、オーブンでまわりに焦げ目をつける。
・桜の開花:桜はある波長の光を長時間あびると開花する。その光が温度と比例するので温度が高くなると桜が開花するようにみえる。
・夏の井戸水は冷たい:井戸水は年間を通して同じ温度ではなく、夏の方が数度低い、理由は、地表の温度が地面を伝わって井戸水の温度に伝わるのには半年かかるから。
・地球の地面は10キロ、大気は10キロ、地球のほとんどはドロドロのマグマでできている。こんな狭い生存圏で、戦争をやったり争ったりするのはつまらない。地球規模で考えたらささいなこと。いつかは、地球は太陽に飲み込まれてしまう。小さな地球、限られた時間をムダにしないで仲良くやりたい。
②力と運動(運動方程式)
ニュートンは、ケンブリッジ大学で勉強していたのですが、イギリスにペストが大流行したときの1665年〜7年に、故郷のリンカーシャに疎開したそうです。そのときに万有引力の法則を思いついたのだそうです。林檎の木の下で思索していたときに、林檎の実がポトリと落ちた。眼前には大きな月が出ている。もっと高いところから林檎を落としたらどうなるか、どんどん高くして月の近くまで行ったら、林檎は地球に落ちずに月に落ちるのではないかと考えたのです。これが万有引力を考えるきっかけになったというお話でした。
ニュートンの運動方程式 F=mαとアインシュタインのエネルギーの方程式 E=mC2は、人類が考えついた最高の方程式ではないのかと話されていました。感覚的なものと相対的なものを”=”で結びつけているところが斬新。
天井に吊るした重りに付けたロープをゆっくり引っ張ったときと、重力(g)以上の加速度で引っ張ったときとで、ロープが切れる箇所が違ってくるんですね。ゆっくり引くとロープの根本から、速く引くと重りの下から切れる。これは、草取りに応用できるそうです。ゆっくり引くと根本から草を引き抜くことが出来るんですね。
③その他いろいろ
【歳をとると時の流れが速く感じるようになるのはなぜですか?】
時間の感じ方は、人によって違う。楽しいことをやっていると時間は速く過ぎ、つまらないことをやっているとなかなか時間が進まない。時間は人によって感じ方が異なり相対的だ。
時間は、過去に経験した記憶の積み重ねだと考えている。歳をとると、冒頭に述べたように忘却力が高まるので、記憶がスカスカになる。昨日食べた夕食のおかずも忘れている。だから、覚えていることが少ないので時間が経つのを速く感じる。若い人は、記憶力が良いので、いろいろなことを覚えているので、記憶が詰まっていて時間が長く感じられる、これが私の持論である。
【放射性同位元素で年代測定ができる理由を教えてください】
放射性同位元素には半減期というものがあり、正確にある時間で半分になる、非常に正確な時計だ。放射性同位元素がどれだけ減ったかを測定するとどれだけ時間が経ったか調べることができる。考古学の年代測定にも使われている。
【燃料電池は環境に優しいのでしょうか?】
水素を原料にする燃料電池は、CO2をださないが、水素を作るときにCO2が出るのなら、トータルでは環境に優しいとは言えない。竹で炭を作ってCO2を固定化して海中に沈めるというプロジェクトがある。
【世界のすべての原発が止まったらどうなるのでしょうか?】
原発は、一度事故を起こしたら放射能が拡散して大変なことになるが、風力、太陽、地熱などの発電を火力に置き換えることが出来ない現在、世界中の原発をすべて止めたら地球温暖化が急速に進む危険性がある。よく考えなければいけない。
2)第2部 小川先生&みんなで語る会
第2部は、横須賀中央の”鳥の巣”で行われました。横須賀市産業交流プラザから横須賀中央のお店まで、小川先生もご一緒に、みんなで歩いていきました。
小川先生は、18時30分ころに退席されましたが、21時まで近況報告や楽しい語らいで良い時を過ごすことができました。また来年の再開を約束して閉会となりました。幹事のみなさま、ありがとうございました。(廣瀬)
追伸:次回の小川先生の特別講義(クラス会)は2019年6月1日(土)です。みなさん、スケジュールを空けておいてください。(幹事の渡辺さんからの伝言)