▶荒崎のトコブシ(高22期 松原 隆文)
4月13日の土曜日、開店したばかりの佐島マリーナ近くの海鮮料理屋に、知人と行った。カマスとムツのフライ、刺身、生しらすが絶品だった。散り始めた通研と旧岩戸高校の桜を眺め、天気が良いので荒崎に行ってみた。久しぶりに磯を歩くと、人がかなり出ている。小学生や中学生が網を持って磯で遊んでいるので「何を採っているの?」と尋ねると、「ハゼやヒトデが掛かる」と言って実に生き生きしている。最近の子供はスマホばかり見ているので、磯で遊ぶ子供達を見て、嬉しくもホッとした。
私も、磯で尻高貝(シッタカガイ)や西貝(ニシガイ)を探してみた。子供の頃から磯遊びをしていたので自信がある。尻高貝や西貝が沢山あった。少し探しているとなんと大きなトコブシを見つけた。一寸持ち帰りたくなったが、ここでは、貝類の採集は禁止である。残念だが諦めた。知人が、「夢中でしたよ」と言っていたから、かなり真剣な顔をしていたのかもしれない。
そういえば、子供達も磯物を採っていなかった。ここでは、子供達も貝採集禁止をしっかり守っているのであろう。
磯遊びで思い出すが、もう20年以上前の5月のことだ(磯遊びは5月が最適)。例年通り、南下浦毘沙門で尻高貝を採っていると、知り合いの農家の主人に会った。
「せんせい、何してんだよ」(地元の知り合いは私のことをこう呼ぶ)
「見てのとおり、磯物を採ってんですよ」
「せんせい、そんなことすんとつかまんぜ。新聞に写真付きで出んぜ」
「何でですか?昔からやってますよ」
「昔は良くても今だめだよ」
「サザエやアワビをシュノーケル付けて採ったら犯罪だけど、これ売り物になりませんよね。だめですか?」
「貝という貝はダメだだよ」
「あそこで釣りしてるじゃないですか!」
「釣りはいいだよ」
「・・・・」
「せんせい、せっかく採ったから、もってきなよ」
「いいんですか?」
「俺、組合員だから俺が採ったことにして先生に遣れば構わねえよ」
「有り難う」
「近々相談に行ってもいいかね?」
「どうぞ」
こんな具合だった。この日を最後に磯遊びを止めた。
磯物を採るのは縄文以来の人間の本能的快感であると考えるが、規則は守らなければならない。トコブシを採り損ねたが、この日は楽しい一日であった。緊張して磯を歩いたせいか、今日も腰が心地よく痛い。
私も、子どもの頃は、荒崎に海水浴に連れて行ってもらいました。近くに乙舳海岸という砂浜の海水浴場がありましたが、荒崎の方が水がキレイで貝などもたくさんあって面白かったです。この三角の貝は、茹でてよく食べていました。シッタカガイという名前だとは知りませんでした。昔は、貝をいくらとっても何も言われませんでしたね。
綺麗な写真を有り難うございます。
サザエやアワビを密漁する者が後を絶たないので、磯遊びも出来なくなってしまいましたね。残念です。尻高は茹でただけでも甘辛で煮てもかなり美味しいんですよ。
三浦は海も陸も豊かでうらやましい限り。岳父が三浦市農協のお偉いさんだったので、暮れに近所からサザエや伊勢エビ、大根や里芋などが到来した。義父母はサザエを茹で細切りにし、大根も心太押出し器のようなもので突いて、味噌なますを山ほど作ったので、正月はなます攻めでした。
私自身のこれに似た思い出は、小学校の時に泳ぎに行った走水で、カラスガイを焚火で焼いて食べたこと。コカ・コーラの瓶を拾って帰り、酒屋に確か5円/本で売ったなあ。瓶の宝庫は猿島と鎌倉市営プールでした。