▶ベトナム訪問記 ②結婚パーティー(高22期 加藤 麻貴子)
結婚パーティーの会場は畠の真ん中の開口部の広い公会堂で外では若者たちが料理を作っている。前週の土曜日にも友人が集まって同じようなパーティをしたそうだ。花嫁さんは花嫁さんで同じ時刻に同じようなパーティを花嫁さん側で催している。
8人から10人ぐらい座るテーブルが8個くらいある。テーブルいっぱいに手作りの料理が並んでいる。皆平服で子どもからご老人まで村中の人や友人達が集まっている。
皆に紹介された私はベトナム語で自己紹介と俄か仕立てのお祝いの言葉を述べると、隣のおばあちゃんがベトナム語で話しかけてきた。近くにいた元防大留学生が「H君はとても頭が良いのでこんな小さな村で一生を終えてはいけない。ハノイに行って立身出世すべき青年だ。日本でお世話してくれてありがとう。」と訳してくれた。H君の幼少期を知る私には最高のはなむけの言葉のように思える。
満腹になったところでお開きとなり、その日の宿に向かう。H君は翌日の結婚式までに中部の町に住んでいる花嫁さんを迎えに行かなくてはならない。未明に友人や親せきの人たちと車3台で迎えにいった。片道約5時間、式は午後2時なので彼らは丑三つ時に出発した。
式の直前に花嫁さん、ご両親と親族を連れて戻ってきた。前日と同じ公会堂だが隣に大きな長方形のテントが張られ、テーブルが並べられている。テントのことであるがミーハオに向かう街道で結婚式が行われているテントをいくつか見かけた。
側面も囲まれている細長い家のようなテントがが正々堂々と道路上に張られている。車はそれを避けて通る。日本ではあり得ない光景であるが小さな村では舗装された道路を活用、不要の時はしまっておける、なかなかのアイデアと思う。
タキシードに着替えシャキッとしたH君とノーランを被ったウエディングドレスの花嫁さんとH君のお母さんが一緒に入場してテントに設えられたひな壇に収まった。ノーランとは円錐形のわらで作る帽子で内側に花などの絵が描いてあるが、普段使いのの物には絵が描いてはない。以前にお土産にもらったノーランは頭が蒸れずに快適なので暑い夏のガーデニングにに重宝している。
新郎新婦の入場時、女性のプロのMCがマイクのボリューム大きく話をしている。意味は分からないが、二人について話しているのだろう。ケーキカット、シャンパンタワー、果ては花火まで飛び出す賑やかなパーティである。参列者は順番に新郎新婦と写真撮影。そして、いつの間にか新郎新婦は消えてお開きとなった。T君はハノイのホテルで開催、日本と似たような式であったろうと思う。(続く)
結婚式直前の花婿花嫁が、それぞれの親類縁者や友人知人を招いた別々のパーティーを開くとは、ベトナム特有の風習ですかね。すぐ結婚披露パーティーもやるのに。
どういう意味を持つ風習なのか考えてみるに、より多くの知り合いへの告知とか、結婚パーティーでは言えないようなここだけの話の暴露とか、なんとも興味深い。
こういう話題では、どうしても自分の経験と結びつけてしまいます。台湾で現地従業員の結婚式に招かれたことがありますので、別の機会にご紹介します。
所変われば結婚式も様々で新郎新婦それぞれの親族と、そして合流してというのはアジアでは珍しくないと思います。ベトナムでは昔は新郎が新婦だけを連れて来ていたそうです。それは花嫁さんが可哀そうということで親族も一緒に来るようになったそうです。