▶「バカの壁」「チンパンジーの三択問題」コミュニケーションを妨げるもの

いくら話しても分からない人が世の中にはいる、そこに立ちはだかっているのが「バカの壁」です。

世の中には、自分の知識だけで「わかっている」と思い込んで頑なに考えを変えない人がいます。「話せばわかる」と信じてコミュニケーションを取り続けても上手くいかない場合、この「バカの壁」が存在していると筆者は言います。問題意識を持たない男子学生と女子学生に出産の話をすると男子学生はほとんど興味を示さず聞く耳を持たないそうです。もともと、反省する気のない人や、興味のない人に話をしてもコミュニケーションは成立しないということです。y=axという方程式で、係数aが0(ゼロ)なら、xに何を入れても結果のyは0(ゼロ)のままということです。係数aが∞(無限大)の場合は、原理主義になるそうです。

もう一つ、「FACTFULNESS」という本に、高度な教育を受けた学生とチンパンジーに3択問題を解かせてボタンを押させると、学生の正答率はチンパンジーに劣ると言う話が出ています。チンパンジーはランダム押すので3割は正解するそうです。学生は2割にも満たない結果が出たそうです。先入観が正解率を下げているのです。マスコミが悪いニュースばかり流すと世界は悪い方に向かっていると思い込んでしまう。実際にデータを調べてみると、昔に比べたら人々の生活は遥かに良くなっていると言うのです。事実を分析して自分で判断することが重要ということです。

この2冊を読むと、固定観念や先入観がコミュニケーションを阻害して、いかに人の判断を狂わせるかが分かります。人の意見を聞かずに「バカの壁」を作っていないか、インターネットの情報に洗脳されていないか、現代人にとっては、この「バカの壁」「チンパンジーの三択問題」の話は良い教訓になると思います。情報は変わらないが人間の考えは時時刻刻変わっていく、流れる情報に振り回されないで事実を見極める、このことを理解して頭を柔軟にして情報と付き合っていく必要があると思います。

他人の意見を良く聞いて、間違いは改めて、良いところは採用するということで前に進むことができると思います。

■「バカの壁」〜人間一人ひとりが何かを理解しようとする時にぶつかる壁〜 養老 孟司 著 新潮新書 2003年
■「FACTFULNESS」〜10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣〜 ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング 著 日経BP社 2019年

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です