▶同窓会研究「神奈川県立厚木高校同窓会との意見交換会」

本日は、厚木高校同窓会「戸陵会」のみなさんに同窓会の運営についてお聞きしました。

■ 日時:2020年10月17日(土)10時~12時
■ 場所:レンブラントホテル厚木

■ 出席者:
【戸陵会(こりょうかい)】
・事務局長  米山さん(高23期)
・事務局次長 志村さん(高24期)
・副会長   石塚さん(高28期)
【記恩ヶ丘の会】 和田さん(高17期)、廣瀬(高25期 記録)

(以下、戸陵会の発言を(戸)、記恩ヶ丘の会の発言を(記)と表記いたします。)

(記)本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。
(戸)足元の悪い中、厚木までお運びいただき、ありがとうございました。

(記)記恩ヶ丘の会は、横須賀高校の同窓生の有志による任意団体で、同窓会について調査・研究をしております。戸陵会の同窓会運営に付きまして、いろいろとご教授いただきたいと思います。
(戸)横須賀高校同窓会の同窓生のお役に立てれば幸いです。初めに貴同窓会の現状についてお聞かせください。

(記)3年ほど前に同窓会の活性化のために役員の若返りを図りましたが、当初の思惑通り運営がうまく進んでいません。
(戸)当校も運営がうまく行かないときがありまして、18年くらい前に大きな改革を行いました。

(記)どのような改革を行ったのでしょうか?
(戸)戸陵会は設立から100年経っているのですが、歴代会長が9人しかいないのです。以前は、一人の会長が20年もやっていた時代がありました。このような体制が続きましたので同窓会が形骸化してしまい、会費収入も減少する事態となりました。

(記)20年会長をやられていたというのは長いですね。具体的にどのような改革を行ったのでしょうか?
(戸)まず、会長は3年で交代することにしました。このことで、運営がマンネリに陥ることがなくなりました。また、会費の納入方法を見直しました。年会費以外に10年会費制と終身会費制を導入しました。

(記)同窓会を順調に運営するために、大変なご苦労があったのですね。今の状態はいかがでしょうか?
(戸)終身会費制を導入したことで、収支は改善しました。開始当時は終身会費の適用年齢を60歳でしたが、平均寿命が伸びましたので65歳に引き上げました。10年会費制で納入した同窓生には、期間満了後も引き続き納入していただくようにお願いしています。
【2020年度総会資料】
http://atsukou-dousou.org/04_soukai/index.html

(記)当同窓会では事務室として横須賀中央に賃貸ルームを借りていますが、同窓会の事務作業を行う部屋はどのように確保されていますか?
(戸)戸陵会では、厚木高校の中にスペースをお借りして同窓会の荷物だけ置かせてもらっています。打ち合わせは、ホテルの会議室などの外部の施設を使っています。このため、当同窓会では光熱水費や賃料等の固定費の負担は、ほとんど発生していません。同窓会の活動資金は会費や寄付ですから、活動費として同窓生にフィードバックすべきと考えています。

(記)改革で組織の見直しも行ったのでしょうか?
(戸)組織は、頻繁に見直しを行っています。現在は、本部役員、理事、総務事務局担当、役員選考委員会、支部・渉外担当、広報委員会、校歌祭担当、ゴルフなどのイベント担当、校内役員(厚木高校教職員のうち同窓教員)から構成されています。その他に各地区同窓会支部があります。

(記)各地区同窓会支部とはどのようなものでしょうか?
(戸)本部とは別に各地で活動している同窓生の集まりです。厚木地区だけで8支部あり、伊勢原、平塚、藤沢、三浦半島、川崎など全部合わせると26の支部があります。各支部から会報を作成する時の広報活動にも参加してもらっています。

(記)それぞれの支部は、どのくらいの規模でしょうか?
(戸)ばらつきはありますが大きなところは、1000人を超える支部もあります。それぞれの支部には会長がいて本部と同じように同窓生の親睦活動をしています。さくら戸陵会という女性だけの支部会もあり、活発に活動しています。今後は、女性の活躍が重要になると思います。

(記)戸陵会の本部は、支部の活動にどのように関わっているのでしょうか?
(戸)年間2万円の助成金を支給しています。それぞれの支部が独自でイベントを行っていますが、主催は戸陵会の本部にしています。このようにすることで、戸陵会としての一体感が醸成され、他の支部の同窓生もイベントに参加しやすくなります。

(記)本部が支部を束ねる役割をしてるのですね。
(戸)支部とは頻繁に情報交換を行っています。会報にも、大きなスペースを設けて各支部の活動の紹介を行っています。
【支部会の活動】
http://atsukou-dousou.org/05_shibukai/index.html

(記)会報の発行は、同窓会の重要な事業の一つだと思いますが、運用はどのように行っているのでしょうか?
(戸)会報発行は大きく3つの業務に分かれています。
最初の業務は会報に掲載する記事を収集することですが、本部役員(副会長)が委員長、副委員長となっている広報委員会が行っています。広報委員は各支部から選出されていますので、地域の話題など様々な情報が集まってきます。
2番目は会報の編集と印刷ですが、これは地元の印刷会社にお願いしています。
最後に完成した会報は、同窓会OBが経営する会社に委託し、納入される会費の種別に併せて、振込用紙とともに会員に発送しています。3種類の会費があり、特に10年会費は、10年満了後の11年目には改めて会費の振込用紙を発送しなければなりませんので、こうした複雑な業務の一切は外部に委託しています。私たち素人集団の事務局ではとても管理できません。
【会費発送委託会社:アイフォーコム】
https://www.iforcom.jp/company_message.html

(記)当同窓会は経費削減と作業の省力化のために会報の郵送は取りやめてWeb版に切り替えました。
(戸)会報のネット化については当同窓会も考えましたが、ネットだけに依存するのは難しいと思います。会費を払ってくれる世代の人たちはネットを見ていないからです。費用はかかりますが印刷した会報を郵送しています。

(記)何部くらい刷っているのでしょうか?
(戸)5300部印刷しています。

【戸陵会の会報】
https://kiongaoka.sakura.ne.jp/blog/wp-content/uploads/2020/10/kaihou54.pdf

(記)この部数では同窓生の全員には配れないですね。
(戸)全員に配るのは予算的に厳しいので会費を払ってくれた人と、44歳、45歳、49歳、50歳、54歳、55歳、59歳、60歳になった期の人に配っています。

(記)44歳、45歳、49歳、50歳、54歳、55歳、59歳、60歳と変則的に配るのは、どのような意図があるのでしょうか?
(戸)会報配布には会費納入をお願いするという大きな目的があります。会費を払ってくれそうな年代をターゲットに会報と会費の振込用紙を送っています。44歳を過ぎると会報と同時に振込用紙が届くのです。44歳、45歳で会費を払わないと、5年経過するとまた2年続けて用紙が届くのです。それが60歳まで続きます。

(記)会費を払ってくれそうな年代をピンポイントで狙い撃ちしているのですね。これは、すばらしいアイデアだと思います。会費の納入方法は、どのような種類があるのですか?
(戸)年会費2000円、10年会費制1万8000円、終身会費(65歳以上)3万円となっています。まとめて10年会費を払った人は、2万円払って2000円は寄付される人が多いです。送金方法は、振込用紙による郵便振替です。コンビニでも納付できるように検討を進めています。

(記)その他に財務体質の改善のために実施していることはありますか?
(戸)財務体質強化を目指して、ご寄付をいただいた同窓生の広告を会報に掲載したり、ゴルフコンペの収益金の寄付などを試行しています。

(記)同窓会のイベントはどのようなものがあるのでしょうか?
(戸)地引網、チャリティゴルフ、「憶い出の杜に親しむ会」などを実施しています。

(記)「憶い出の杜に親しむ会」というのはどのような催しですか?
(戸)戦前、愛川町と厚木高校が分収林契約を締結して同窓生が管理していた同窓林の杜があります。今は管理を「愛川森林組合」に委託していますが、同窓林の見学と懇親会を開催しています。
(記)厚木高校ならではのイベントですね。
【同窓林の歴史】
http://atsukou-dousou.org/02_kouka/dousourin.html

(記)在校生に対しての働きかけはどのように行っていますか?
(戸)同窓会の活動を紹介するパンフレットを作成して卒業式に配っています。また、厚木高校の新聞部が発行している「厚高新聞」を各支部に配布するということをやっています。この新聞は、全国高校新聞コンクールで受賞したこともあります。同窓生は、母校の生徒の活躍に興味を持っているのです。

【同窓会の紹介パンフレット】
https://kiongaoka.sakura.ne.jp/blog/wp-content/uploads/2020/10/katsudou.pdf
【厚高新聞が奨励賞を受賞】
https://www.townnews.co.jp/0404/2013/02/01/174790.html

(記)若い世代の同窓生へのサポートはどのようにしていますか?
(戸)高校を卒業した同窓生は、二十歳の記念のイベントを行うことが恒例になっています。その時に2万円の支援を行っています。30歳、40歳の節目にイベントを行っている所には、その支援も行っています。

(記)クラス会や支部で活動をする時にイベント開催のお知らせをする場合に名簿が必要だと思いますが、どうされていますか?
(戸)5年に1回、同窓生の住所などを載せた会員名簿を製本、販売しています。発行に関しては、株式会社サラトという専門の会社に委託し、3000部印刷しています。
【株式会社サラト】https://salat.co.jp/

(記)青春かながわ校歌祭についても、力を入れられているようですね。
(戸)校歌祭が始まって10年以上経ちますが、戸陵会は貴同窓会と同様に最初から参加しており、現在は幹事校として参画しています。「校歌を歌う」だけでなく、応援団OB会やダンスドリル部の良い発表の場になっています。台風、コロナで2年続けて中止になってしまって残念ですが、バスを連ねて、横須賀芸術劇場の晴れ舞台で歌ったことは忘れられない思い出になっています。

(記)予定の2時間が経過してしまいました。コロナ禍の中にも関わらずFace to Faceで貴重なお話をお聞かせいただき大変に勉強になりました。同窓会の改革後の斬新な数々のアイデアによる運営のお話は感銘いたしました。貴同窓会の順調な運営の裏には大変なご苦労があったということを良く理解できました。 当校も、今回教えていただいた内容を参考にさせていただき、知恵を出して危機を乗り越えていこうと思います。これからも戸陵会がますます発展されることをお祈りいたします。本日は、本当にありがとうございました。

【厚木高校 戸陵会ホームページ】
http://atsukou-dousou.org/index.html
【厚木高校ホームページ】
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugi-h/
⇒ 同窓会研究プロジェクト
https://kiongaoka.sakura.ne.jp/blog/2020/10/05/dousoukaiprg/

(後日談)
意見交換会が終わって数日後に、戸陵会の石塚さんから、こんなメールをいただきました。

組織の活性化は、執行部の重要なテーマです。同窓会の先輩から伺った言葉があります。
「組織を活性化させるためには、何かにつけて人が集まるような仕掛けを用意することだ!」
⇒ 総会、高校野球の応援、校歌祭、地引網、同窓林、ゴルフコンペ、同期会、OB会、周年事業 etc
コロナ禍での困難もありますが、横須賀高校同窓会はもとより、各同窓会活動に取り組んでおられる皆様の活動を参考に、所期の目的を達成してまいりたいと考えております。引き続きのご鞭撻をお願いいたします。

「組織を活性化するために”何かにつけて”人が集まる仕掛けを用意する」
同窓会にとって重要なミッションだと思いました。

「デジタル」だけでなく、旧交を温めるために「共に肩を組み校歌を歌う」環境を作ることも重要、というお言葉も別のメールでいただきました。解決に向けた、大きなヒントをいただいたような気がしました。もう一度、組織の活性化について、同窓会の活動のあり方について、じっくり考えてみたいと思います。ありがとうございました。(高25期 廣瀬)

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